第45回(令和5年度)奨励賞受賞者(令和5年10月28日授与)
第45回(令和5年度)奨励賞受賞者(令和5年10月28日授与)
氏名 | 所属機関・職名 (受賞対象論文執筆時) |
受賞論文 |
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水上遼 | 東京大学東洋文化研究所特任研究員 | “Interconfessional Dialogue on Faḍāʾil of the Twelve Imams: Rethinking the Confessional Boundary between Sunnism and Shiʿism in Medieval and Early Modern Islam,” Orient 58(2023) |
授賞理由
氏名 | 授賞理由 |
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水上遼 | 本論文は、13世紀から17世紀にスンナ派・シーア派両派の宗教知識人が著したシーア派イマームの「美質の書(ファダーイル)」文献を分析する。スンナ派にも12人のイマームに対する崇敬の念が広く見られたという単純な事実を指摘するのみならず、相互に文献を引用し知的な交流を展開しながらも、そのなかでイマーム崇敬を自派教説の正当化に利用しようとしたシーア派の動向や、逆にそれを「スンナ派化」しようとするスンナ派側の努力を明らかにしている。論理展開ならびに結論部分がやや不明確である、英語表現に改善の余地があるといった指摘もあったが、幅広い時代・地域で編纂されたアラビア語・ペルシア語の一次史料を丹念に読み解き、従来あまり明らかにされてこなかった問題に取り組んだ、オリジナリティに富む意欲的な研究といえる。以上の理由から、日本オリエント学会奨励賞を本論文に授与することとした。 |